雑感

記憶が薄れないうちに母のことを書き留めておこうと思いつつ、やっぱりあの日々を思い出すのはとても重いことで、すっかり間が空いてしまいました

小林麻央さんが亡くなったというニュースを受けて、少し思うところがあったので。

治療法がよくなかったとか、早く手術してれば、とか一部で言われているけども
毎年検診を受け、麻央さんと同じ3年前に病気が見つかってすぐに手術をし治療に専念していた母をこの春に亡くした身としては、本当に残念ながら、現代ではがんに対する正解の治療法というのはないのだと思います。
いろんな治療法があって、そのうちのひとつが「手術」であり「化学療法」であり「放射線療法」であり、「民間療法」もそのうちのひとつと言って差し支えないのではないかと。

そこから後は、もはや運試しの世界に近いと思っていて。
選んだ治療法がその人に合っていてものすごく効果が出て寛解する人もいれば、いまいち効果が上がらない人もいる。
私の母は残念ながら後者でした。手術で原発部位を全摘したけど、結局周囲のリンパに転移しており全身へ広がり、それどころか全摘の後遺症で日常生活が不便になってしまった。
だけど手術なんてしなければよかった、とは思いません。
母が自分で病と向き合い、考え、選び、最後までやり通した治療法を否定することは、母の頑張りまでも否定してしまうことになる。
選択した道を最後まで歩ききった母に、「だからあっちの道行けばよかったのに」とは言えない。声をかけるならば「大変な道をよく歩ききったよね。お疲れさま」です。
正解がないのであれば、患者本人(とその家族)がいくつかの選択肢の中から自分が納得できる療法を選び、この治療法で自分はがんと付き合っていくのだと思えることが一番重要ではないのかなと思っています。

無念であることに変わりはないけども、麻央さんや家族の人たちが後悔していなければいいなと、ただの一般人だけど近い境遇を体験した身としては、思っています。